「偏差値より『カビへの愛』。特色入試を勝ち抜いた変人リケジョの生存戦略」

藤本 葵さん藤本(農・特色)

【プロフィール】

  • 氏名:藤本 葵(ふじもと あおい)

  • 所属:京都大学 農学部 応用生命科学科 4回生

  • 出身高校:東海地方の公立高校(生物部所属)

  • 得意科目:生物、化学

  • 苦手科目:英語、古文

  • 受験の特徴:特定の生物への愛が強すぎるあまり、一般入試ではなく「特色入試(AO入試)」で勝負をかけた。


【インタビュー】「変人」歓迎の土壌を求めて。カビとキノコに魅せられたリケジョの研究生活

実験器具や分厚い専門書が無造作に積み上げられた、農学部の研究室。その一角で、一心不乱に顕微鏡を覗き込む藤本葵さんの姿があった。「片付けてなくてすみません」と照れくさそうに笑うが、エプロンについた薬品のシミが、彼女の研究への熱意を物語っている。特定の生物への並々ならぬ探究心で京大の門を叩いた彼女に、そのユニークな受験生活を聞いた。

――すごい熱量で顕微鏡を見ていましたね。今は何の研究を?

「今は糸状菌、いわゆるカビの一種が持つ酵素の働きについて調べています。高校生の時から、カビとかキノコとか、ちょっとジメッとした場所にいる生物が大好きで(笑)。顕微鏡下のミクロな世界って、宇宙みたいで本当に飽きないんですよ」

――筋金入りの「生物屋」ですね。京大農学部を選んだ理由は?

「高校の生物部で粘菌の研究をしていたんですが、顧問の先生に『お前のそのマニアックすぎる興味を受け止めてくれるのは、日本中探しても京大くらいだ』と言われたのがきっかけです。オープンキャンパスに来た時、教授たちがすごく楽しそうに自分の研究の話をしていて、『ここなら変人でも許される!』と直感しました」

――受験勉強はどのように進めましたか?

「私は一般入試ではなく、論文や面接が課される『特色入試』で受験しました。正直、英語や国語の成績は壊滅的で、普通のペーパーテストでは太刀打ちできなかったので…。

その代わり、高校時代に行った研究のレポート作成には命をかけました。京大の先生方が読むと想定して、ただ結果をまとめるだけでなく『なぜその実験手法を選んだのか』『予想外の結果から何が考察できるか』という、思考の深さをアピールすることに注力しました。高3の秋は、受験勉強というより、ずっと論文を書いていた記憶しかないですね」

――まさに研究者としての資質を問われたわけですね。入学してみて、京大はどうですか?

「最高です。この研究室を見ての通り、おしゃれさとは無縁の生活ですが、好きな時に好きなだけ実験に没頭できる環境は幸せですね。周りも良い意味で『変な人』ばかりで、自分の専門分野について話し出すと止まらない人たちに囲まれて刺激を受けています」

**――最後に、京大を目指す、特に個性的な強みを持つ後輩へメッセージをお願いします。

「京大は、オールマイティな優等生だけでなく、何か一つ突き抜けた『偏愛』を持っている人を面白がってくれる大学です。もしあなたが『これだけは誰にも負けないくらい好きだ』という分野があるなら、それを武器にする入試方法も検討してみてください。自分の『好き』を信じて突き進んでほしいです」

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